では、なぜこのような杜撰な作戦計画がそのまま上級司令部
の承認を得、実施に移されたのか。これには、特異な使命感に
燃え、部下の異論を抑えつけ、上級司令部の幕僚の意見には従わない
とする牟田口の個人的性格、またそのような彼の行動を許容した
河辺のリーダーシップ・スタイルなどが関連していよう。しかし、
それ以上に重要なのは、鵯越作戦計画が上級司令部の同意と許可
を得ていくプロセスに示された、「人情」という名の人間関係重視、
組織内融和の優先であろう。そしてこれは、作戦中止決定の場合にも
顕著に現れた。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 インパール作戦 P174 より抜粋~

