5 月 13th, 2009 — 組織論
結論的にいえば、日本軍のおかした失策が米軍のそれより大きかった
ということである。日本軍人の勇敢さや個々の士官の優秀さは米軍側
も認めるところであったが、こうした人々は巨大で複雑な、組織化された
現代戦の作戦で成功を勝ちとるのに必要不可欠な「高度の平凡性」
(フィールド『レイテ湾の日本艦隊』)が不足していたのである。
フィールドはその具体的な表われとして、次の点をあげている。
①聡明な独創的イニシアチブが欠けていたこと。
②命令または戦則に反した行動をたびたびとったこと。
③虚構の成功の報告を再三報じたこと。
こうした一つ一つの小さな失策が積み重なって、作戦全体の帰趨が
決定づけられたのである。各自が錯誤の余地を少なくするためには、
日常的な思考・行動の延長の範囲で活動できることが必要である。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 レイテ海戦 P220 より抜粋~
5 月 13th, 2009 — 組織論
レイテ海戦のような広汎な地域での同時多発的な戦闘の展開に
あたっては的確な情報・通信システムが不可欠であることは
いうまでもない。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 レイテ海戦 P218 より抜粋~
5 月 13th, 2009 — 組織論
ここで問題にしているのは、両者のいずれの見解が軍事戦略上、
適切であったかではない。より根本的問題として、作戦の立案者
と遂行者の間に戦略目的について重大な認識の不一致があるという
点である。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 レイテ海戦 P215 より抜粋~
5 月 13th, 2009 — 組織論
このような人間関係や組織内融和の重視は、本来、軍隊のような
官僚制組織の硬直化を防ぎ、その逆機能の悪影響を緩和し組織の
効率性を補完する役割を果たすはずであった。しかし、インパール作戦を
めぐっては、組織の逆機能発生を抑制・緩和し、あるいは組織の
潤滑油たるべきはずの要素が、むしろそれ自身の逆機能を発現させ、
組織の合理性・効率性を歪める結果となってしまったのである。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 インパール作戦 P174 より抜粋~
5 月 13th, 2009 — 組織論
では、なぜこのような杜撰な作戦計画がそのまま上級司令部
の承認を得、実施に移されたのか。これには、特異な使命感に
燃え、部下の異論を抑えつけ、上級司令部の幕僚の意見には従わない
とする牟田口の個人的性格、またそのような彼の行動を許容した
河辺のリーダーシップ・スタイルなどが関連していよう。しかし、
それ以上に重要なのは、鵯越作戦計画が上級司令部の同意と許可
を得ていくプロセスに示された、「人情」という名の人間関係重視、
組織内融和の優先であろう。そしてこれは、作戦中止決定の場合にも
顕著に現れた。
~失敗の本質
日本軍の組織論的研究
中公文庫
一章 失敗の事例研究 インパール作戦 P174 より抜粋~